設置の義務化と補助金予算
1台あたりの補助金額は17万5千円
全国の幼稚園、保育園等の送迎バスにおいて、2023年4月から置き去り防止装置の設置が義務化されました。
厚生労働省は「令和4年度第2次補正予算 保育関係予算」の中で、内閣府・文部科学省・厚生労働省として、234億円(うち子ども家庭局分は122億円)を予算している事を発表しています。
- 送迎用バスへの安全装置の導入支援(厚生労働省・文部科学省計上)
- 登園管理システムの導入支援(厚生労働省・文部科学省計上)
- こどもの見守りタグ(GPS)の導入支援(厚生労働省・文部科学省計上)
- 安全管理マニュアルの動画配信や研修の実施等(内閣府計上)
置き去り防止装置の設置、導入については、122億円を予算として、国から補助金が出る方針で、現時点では1台あたり18万円が予定されています。
※20万円を上限として9割を補助
→1台あたり17万5000円の定額補助をすると1月27日に内閣府の小倉こども政策担当大臣が公表しました。
対象台数は約4万4,000台を見込み、小中学校や放課後児童クラブのバスは義務化しないが、設置費用の一部を補助する方向との事。
【対象施設】
保育所、認定こども園(幼稚園型認定こども園以外)、地域型保育事業所、広域的保育所等利用事業を行う者認可外保育施設、放課後児童クラブ、障害児通所支援事業所幼稚園(幼稚園型認定こども園を含む)、小学校、中学校、義務教育学校、中等教育学校、特別支援学校
安全装置の設置にあたり、政府は『事業者の実質負担をゼロにすることにしており、18万円は市販の装置の購入・設置費用を賄える額。』であると発表されていますが、当サイトで取扱をしている製品を24V車へ設置した場合も、出張取付費を盛り込んだとしても18万円以内に十分におさまります。
※2023年1月16日時点では補助金に関する国からの具体的な発表はございません事、御容赦頂けると幸いに存じます。
保育関係予算の主な内容
- 「こどもの安心・安全対策支援パッケージ」の推進:122億円
- 保育の受け皿整備やICT化の推進等:442億円
- 新型コロナウイルス支援:56億円
翻訳機の導入などについても支援しているとの事ですので、政府の動向からは目が離せません。
各都道府県や自治体での追加補助金
国からの補助金とは別に、各自治体でも独自の導入支援策を打ち出しているとの情報をキャッチしております。
※詳細については、各自治体からの正式発表を必ずご確認下さい。
- 栃木県では、3億3200万円あまりを盛り込んだ一般会計の総額で359億9,900万円あまりの追加の補正予算案を開会中の県議会に提出。
- 宮崎県では、再発防止策として、安全装置を設置する費用を県が全額補助するとして、およそ9,950万円を計上。
各都道府県の定例県議会では、政府の交付金などを財源として、送迎バスでの園児の置き去りを防ぐ安全装置を取り付けるための費用や、子どもが登園したかどうかを園や保護者が確認できるシステムを導入する際に掛かった費用を補助できるよう一般会計の補正予算案について本会議で審議されております。
宮崎県の場合、9,950万円を含めた総額344億円余りの一般会計の補正予算案が本会議で審議され、既に全会一致で可決されています。
また、余談になりますが、宮崎県の場合、2022年4月以降に子どもが生まれた世帯を対象に、育児用品の購入費などとして1人当たり10万円相当を支援するための経費、およそ8億4,900万円も盛り込まれているとの事。お住まいの方は、県のページ等、動向に注視頂ければと存じます。
補助金の申請について
このように追加補助金については、各地方自治体によって異なるので注意する必要がありますが、補助金の申請に関しての基本的な手続き(前もって準備をするもの)は変わりないと考えられます。
- ガイドライン適合品の購入
- 園児バスへの装置取付
- 装置の説明責任と内容理解
- 導入時期と領収書等の提出
これらは必須事項で、「どこに誰がどのように申請するのか。」というのが次のポイントになります。
紙ベースであれば申請用紙の請求も必要になりますが、申請をするのは各園単位なのか事業者単位なのか。
はたまた販売業者なのか、取付業者が行うものなのか。
提出先は各自治体なのか別の機関なのか。
導入支援は厚生労働省、文部科学省計上と記載がありますが、今の現状を考えると各自治体ないしは各都道府県への提出になるのではないかと予測しております。
とはいうもののまだ確定していないのが事実。
こういった事を踏まえながら国からの発表を待つばかりです。
対象商品はガイドラインに準拠するものに限る
「令和4年度第2次補正予算 保育関係予算」に記載の通り、導入する置き去り防止装置は、ガイドラインに準拠したものでないと認められません。
つまりガイドラインの要件を満たさなければ補助金の申請はできない=義務化に違反している。と考える事ができます。
※義務化に違反しているかどうかは、あくまでこのように捉えられかねない。という個人の主観である事、ご理解下さいませ。
既にバスの置き去り防止装置を導入されている国は、アメリカや韓国などがございますが、これらの国で実績がある製品であったとしても日本国内で策定されたガイドラインの要件を満たさない限りは、補助金の対象にはならないという事に注意する必要があります。
置き去り防止を支援する安全装置の仕様に関するガイドラインについては、下記にて要点をまとめさせて頂きましたのでご参考にして頂ければ幸いに存じます。
再発防止の幼児教育
恥ずかしい話ですが、ガソリンスタンドで洗車中、インキー(鍵の閉じ込め)をしてしまい3歳頃の娘を目の前で車内に閉じ込めてしまった経験がございます。
幸いなことに停車中の為、娘のシートベルトはほどいており、外から窓をノックし『開けて!』とドアを指し示すジェスチャーをしたところ中から娘がドアを開けてくれたおかげで事なきを得ました。
車外に出てきた娘は訳も分からず「パパにめちゃくちゃ褒められて抱きしめられる。」という謎の状況にきょとんとしておりましたが、一歩間違えれば重大な事故に繋がりかねませんでした。
外に私がいた事や、発生現場がガソスタであったことに加え、近所にディーラーやカー用品店がありましたのでインキー程度ならばどうとでもなったのかもしれませんが、その日は暑い夏の昼下がり、その瞬間に冷静さはなく、心底焦った事、今でも忘れらません。
閉じ込められて熱中症で死亡した幼児の事を想うと、想像を絶するものがございます。
静岡県や福岡県で発生した事故がそうだとは言いかねますが、このように事故というのは予期せぬ事態の上で成り立っているという事を理解しなければなりません。
万が一こういった事故に巻き込まれた場合は、どういった対応ができるのか。
園児も含め、当事者になりえる者は全員が理解し行動に移す準備をしておくことが大切です。
例えば、園児が通園バスに乗る際の事前講習として、『万が一閉じ込められた場合は、クラクションを鳴らし続けなさい。』といった教育をされている園や施設も増えてきているとの事をお聞きしました。
知らない園児には到底思いつく事はできません。
この教育は本当に素晴らしいのですが、忘れてはならない事が一つございます。
それは、教えられていたとしてもできない事があるという事。
簡単な事でも、いざ当事者になれば意外とできないものなんです。
ですので、私自身もそうですが、親御さん方も、『園が教えているだろ。』などと安心なさらずに、冷静さを失った当事者、特に園児にはこういったアクションを起こす事がとても難しいという事を理解していただき、ご家庭でも我が子にお伝え頂ければと存じます。
自家用車にて、キャンプ地で・・・ショッピングセンターで・・・スーパーの駐車場で・・・十分に起こりえる事案でございます。
『ちょっとのつもり』は通用しないのです。
保育士さんや運転手さん、職員さんについては、負担は増える事になるかもしれませんが、引き続き再発防止に努めて頂ければと存じます。
置き去り防止装置を導入したからといって「100%事故は起こりえない。」などと過信なさらずに、あくまで未然に防ぐための施策を国を挙げて講じたに過ぎない。という事を理解して頂ければ幸いに存じます。
補助金についての発表後、大きく市場が動いていく事になるかと存じますが、目的は再発防止です。
『二度とこんな事故は起こさせない!』をスローガンとし、正しい理解の上、全対象バスに設置されるよう一丸となり推し進めてまいりましょう。
御用命頂いた際は、間違いない製品を取付し、申請漏れが起こらないよう最後までお付き合いさせて頂きます。
引き続き何卒宜しくお願い申し上げます。
担当職員さん、保育士さんの手間や面倒を引き受けます。