はじめに
製品の選定には、ガイドラインを理解しなければならないので、加藤電機の営業担当様にお話しを伺いながらポイントをおさえました。
静岡県で起きた事案の主な原因
・園児のバス降車時に、運転手、乗務員ともに、送迎用バスに園児が残っていないか確認を行わなかったこと
・降車時の人数確認等を手順として決めていなかったこと
装置の基準
- 電波法(昭和25年法律第131号)等の規定に適合するもの。
- 道路運送車両の保安基準(昭和26年運輸省令第76号)の技術上の基準に適合するもの。
- 作動を停止している際に自動車の性能に影響を及ぼすおそれがないもの。
- 当該自動車の安全な運行に影響を及ぼすおそれがないもの。
- 当該装置の故障又はその電源の故障により、当該自動車の安全な運行に影響を及ぼすおそれがないもの。
- 運転手等が容易に作動を停止できないように設計されたもの。
- 運転手等の誤操作やいたずら等により簡単に壊れる設計でないこと。
- -30~65℃の温度条件下において正常に作動するもの。
※ダッシュボード等の直射日光の当たる位置に取り付けるものにあっては、-30~85℃。 - 電源電圧が±20%の間で変動した場合において正常に作動するもの。
- 機能、性能及び仕様等を踏まえ、装備可能な車両の範囲を明確にした上で、装置ごとに装備可能な車両に装備されなくてはならない。
- 通知が明確に確認可能な位置にステイタスディスプレー(LED、パイロットランプ又はインジケータを含む。)が取り付けられる体制を備える。
※正常時:青色又は緑色
※異常時:赤色 - 確認装置は、確認操作を行う過程において、運転手等が運転席又は乗降口を離れて車内に置き去りにされた乗員がいないか確認できるよう、車両後方の位置に少なくとも1つ以上設置されるもの。
- 車内警報は、音による警報であることとし、車内の運転手等に対して十分に聞こえる音圧で、容易かつ明確に認識できるものでなければならない。
※警報が継続している時間の長さを示すため、音による警報が変化してもよい。 - 車外警報は、音による警報であることとし、少なくとも他の音源に妨げられない場面において、車から50m離れた地点においても十分に聞こえる音圧で、容易かつ明確に異常が認識できるものでなければならず、ブザー、アラーム又はホーン等の緊急性を感じる音によるもの。
- 車外警報は、車両に設置された装置からの音による警報のみならず、無線送信により保育所等の関係者に対してメール、アプリ、SMS又は園内での音による警報等の警報信号を発する機能等を有することが望ましい。
- センサーの発する検知波がこどもの身体へ及ぼす影響を十分に考慮した上でセンサー及び検知波の強度を選定する。
※特に故障時においても出力が上昇することがないよう、対策が講じられていること。
使用上の説明責任
置き去り防止を支援する装置の販売又は取り付けを行う者は、少なくとも下記の点について、送迎用バスの管理者等に対し、文書等の手段を用いて説明を行うこと。
- 使用方法
- 注意事項
- 機能の限界
※当該装置のセンサーにより検知可能な対象・状況(時間帯等)を含む。 - 作動の通知及び故障の通知の対象
- ステイタスディスプレーの推奨設置箇所
- 検知可能な故障の範囲
- センサー不良に係るリスク
- 適切な点検整備の実施の重要性
- 点検整備の頻度・実施方法・確認事項
- 置き去り防止装置の意義
- 温度耐性・装置の温度耐性の上限値と下限値
- 動作保証期間
- 発生原因の調査
製造メーカーの使命
製作者の指示に従って取り付けた状態において、適当な耐用期間にわたり車内の環境に耐えることができるように、設計及び製造されなければならない。
A) 当該装置の取り付けの際のリード線の断線、接点の安全等
B) 当該装置の取り付けの際の自動車の電気回路の電気特性への悪影響
C) 当該装置の取り付けの際の保護等級(防水・防塵性能)、耐候性
D) 当該装置の振動に対する耐性
①取り付けの際の保護等級について
IEC規格529-1989に基づき、車室内に取り付ける部品はIP40、その他の部品はIP54の保護等級を確保すること。
②対候性
IEC68-2-30-1980に基づき、7日とする。
- 自動車部品の振動に対する試験方法としては、JIS D 1601等が存在する。
- 防水性能については、乗員となるこども等がいたずらで装置を舐めてしまう可能性等を特に考慮する必要がある。
ガイドラインに沿った商品はこちら
加藤電機
日本のカーセキュリティを牽引する加藤電機からは、下記機種が発売されています。
※卸価格での見積依頼は随時受付中です。
1月発売予定の新商品BS-700シリーズはガイドラインに適合。
※予約受付中です。(2022年12月20日時点で2月~の納品、取付施工が実施可能です。)
現行モデルのBS-300とBS-500Gを既にご購入済み、もしくは検討されている方もオプション品を2つ付ければ適合します。
- BS-700M 定価(込):142,780円/予定
- BS-700C 定価(込):142,780円/予定
- BS-700S 定価(込):109,780円/予定
- BS-500G 定価(込):85,800円
- BS-300S 定価(込):58,850円
●緊急対策の概要
①所在確認や安全装置の装備の義務付け
誰が運転・乗車するかにかかわらず、バスの乗車・降車時に、幼児等の所在の確認が確実に行われるようにするため、府省令等の改正により、幼児等の所在確認と安全装置の装備を義務付ける。
②安全装置の仕様に関するガイドラインの作成
安全装置の装備が義務化されることを踏まえ、置き去り防止を支援する安全装置(仮称の仕様に関するガイドラインを年内にとりまとめる。
③安全管理マニュアルの作成
車側の対策である安全装置の装備との両輪として、送迎用バス運行に当たって園の現場に役に立ち、かつ、分かりやすく、簡潔な、安全管理の徹底に関するマニュアルを策定する。
④早期のこどもの安全対策促進に向けた「こどもの安心・安全対策支援パッケージ」
(1)送迎用バスへの安全装置導入支援
(2)登園管理システムの導入支援
(3)こどもの見守りタグ(GPS)の導入支援
(4)安全管理マニュアルの動画配信や研修の実施等
「誰が運転・乗車するかにかかわらず、バスの乗車・降車時に、幼児等の所在の確認が確実に行われるようにする」ことを目的にしている。
マニュアルが意図せず遵守されない等のヒューマンエラーを補完することを目的に、当該装置の開発状況や送迎用バスの使用実態等も十分に考慮の上、「幼児等の所在の確認が確実に行われるようにする」ために最低限満たすべき要件等をとりまとめるものである。
ガイドラインにおいて規定された主な要件
▶【別紙1】ガイドライン概要.pdf
▶送迎用バスの置き去り防止を支援する安全装置のガイドライン.pdf
共通要件
- 運転者等が車内の確認を怠った場合には、速やかに車内への警報を行うとともに、15分以内に車外への警報を発すること
※自動検知式においては15分以内にセンサーの作動を開始 - こども等がいたずらできない位置に警報を停止する装置を設置すること
- 十分な耐久性を有すること
例)−30~65℃への耐温性、耐震性、防水・防塵性等 - 装置が故障・電源喪失した場合には、運転者等に対してアラーム等で故障を通知すること
※電源プラグを容易に外せない装置に限り、回路を二重系にして故障の確率を低くした場合には、当該故障の通知要件を緩和する。
降車時確認式の装置の作動(押しボタン式など)
- エンジン停止後、運転者等に車内の確認を促す車内向けの警報を発する
- 運転者等が、置き去りにされたこどもがいないか確認しながら車内を移動し、車両後部の装置を操作することで、警報を解除可能
- 車内の確認と装置の操作が行われないまま一定時間が経過すると、更に車外向けの警報を発する
自動検知式の装置の作動
- エンジン停止から一定時間後にカメラ等のセンサーにより車内の検知を開始する
- 置き去りにされたこどもを検知した場合、車外向けの警報を発する
備える構造と機能
降車時確認式の場合
- 原動機の停止等の後、運転手等が車内に置き去りにされた乗員がいないか確認した上で確認操作を行うための確認装置
- 原動機の停止等後、車内警報を発して運転手等に車内の確認を促す機能
- 車内警報が行われたまま一定時間確認操作がなされない等、運転手等が車両から離れようとしていることが想定される場合において、車外警報を発して乗員の置き去りの可能性があることを車外に知らせる機能
自動検知式の場合
- 原動機の停止等の後、センサーにより車内に置き去りにされた乗員を検知する機能
- 原動機の停止等の後、センサーにより車内に置き去りにされた乗員が検知された場合において、車外に向けて警報を発してその旨を知らせる機能
- センサーにより置き去りにされた乗員が検知された場合において、運転手等が車内に置き去りにされた乗員がいないか確認した上で確認操作を行う確認装置
装置の作動時間
少なくとも次のいずれかの時間において作動するものとする。
降車時確認式の場合
- 原動機の始動から、原動機の停止等の後に確認操作が行われるまでの間
- 降車時確認式の装置に加え、自動検知式の装置に係る機能も備える場合にあっては、原動機の始動から、原動機の停止等の後に自動検知式の装置の機能の作動が完了するまでの間
(自動検知式の装置の作動中にセンサーにより置き去りにされた乗員を検知した場合にあっては、確認操作又は原動機の再始動が行われるまでの間)
自動検知式の場合
- 原動機の始動から、原動機の停止等の後に製作者等が定めた時間が経過する時点までの間
(当該時点までの間にセンサーにより置き去りにされた乗員を検知した場合にあっては、確認操作又は原動機の再始動が行われるまでの間)において作動するものとする。
正常作動時の通知
置き去り防止を支援する装置が正常に作動している場合にあっては、少なくとも次のいずれかの方法により、少なくとも原動機始動時に運転手等に対しその旨を通知するものとする。
- 運転手等が明確に確認できる位置に設置されたステータスディスプレー(LED、パイロットランプ又はインジケータを含む。)を青色又は緑色に点灯又は点滅させる方法
- 音声による方法 ただし、通知をより確実に行うため、灯光及び音声の両方による通知を行うことが望ましい。
動作不良・機能不全時の通知
次に掲げる機能不全状態を検知したときは、運転手等が明確に確認できる位置に設置されたステイタスディスプレーを赤色に点灯若しくは点滅させる方法又は断続的な音声による方法によりその旨を通知するものとする。
故障の通知の方法としては灯光及び音声の両方による通知を行うとともに、運転手等のみに通知を行うのではなく、複数名に対して通知を行う工夫がなされていることが望ましい。
降車時確認式の場合
- 制御装置(置き去り防止を支援する装置の作動及び作動終了のための機能を有する装置をいう。)の配線の断線
- 制御装置の電源喪失(但し、車載バッテリーから電源を取得している装置にあっては、バッテリー上がりに起因する電源喪失を除く。)
※5.1.3.1.の② - 確認装置が確認操作の位置で固着する等、確認操作が設計仕様を越えて連続している状態確認操作が一定時間継続される場合にこれが無効化される場合を除く。
自動検知式の場合
- 制御装置(置き去り防止を支援する装置の作動及び作動終了のための装置をいう。)の配線の断線
- 制御装置の電源喪失(但し、車載バッテリーから電源を取得している装置にあっては、バッテリー上がりに起因する電源喪失を除く。)
- 確認装置が確認操作の位置で固着する等、確認操作が設計仕様を越えて連続している状態確認操作が一定時間継続される場合にこれが無効化される場合を除く。)
※検知可能な故障の範囲として、センサー不良等の検知も行えることが望ましい。
制御装置の安定性向上
装置全体の作動の安定性を向上させるため、装置の構成部品等(電源又は制御装置の回路等)を二重系とする等、冗長性を持たせた設計とすることが望ましい。
あとがき
ガイドラインに適合した製品が少しでも早く全国の送迎バス、スクールバスに取り付けられる事を切に願っています。
二度と痛ましい事件を起こさない為には、園児やその親御さん、園長先生や保育士さん、職員さん、製造メーカー様、取付業者様、整備士さん、販売店様といった関わる全ての方々の御理解と御協力が必要です。
本記事は、分かりにくいガイドラインを少しでも分かりやすくお知らせできればと思い執筆致しました。
拙い文章で大変恐縮ですが、まずは内容を関係者各位へ御周知頂ければ幸いに存じます。
光栄にも私に御用命を頂いた際には喜んで対応させて頂きます。
引き続きのお力添えの程、何卒宜しくお願い申し上げます。
psハッと気が付いた事。
本記事を書き終えた1月14日は奇しくも亡くした愛娘の誕生日。
おめでとうとつぶやき想像を膨らませてまたそっと胸にしまう日。ありがとう。
担当職員さん、保育士さんの手間や面倒を引き受けます。